こんにちは、あるびと(@arbit_13)です。
Planar(プラナー)T*45mm F2 という、かつて京セラが作っていたContax G(コンタックスG)マウントのレンズがあります。
今回はTwitterで宣言した通り、富士フイルムX-T3に組み合わせてのレビューをしていきます。
X-T3とContax G Planar T* 45/2の記事って需要ある?
— あるびと / あるびと’ログ (@arbit_13) October 15, 2019
無くても書きたいから書くけど
ちなみにべた褒めの提灯記事になる予定だからね?
レンズコーティング…違った、T*(ティースター)コーティングの色から褒めるから
さらにX-T3&45/2&ストロボでブツ撮りとか誰得項目も書くでよ pic.twitter.com/FtQ8x4XBbQ
Planar T* 45mm F2をX-T3で使うと、フルサイズ換算焦点距離約70mm(45×1.525=68.625)。
つまり中望遠の単焦点レンズへ変わります。
今回のレビューに当たって、このPlanar T* 45mm F2というレンズは
- 見た目も美しく
- 写りも良くて
- その上富士フイルムのカメラと相性が良く
- 結果的に今まで以上に所有欲が満たされる素晴らしいレンズ
ということを再確認しました。
※フィルム版のレビューはこの記事の1番下にリンクを貼ったので興味のある方はぜひご覧ください
まずはPlanar T* 45mm F2 の見た目、そしてT*コーティングの色を味わって欲しい
PlanarT* 45mm F2というレンズには美しいという形容詞がよく似合う。
写りの話に入る前に、まずは
- T*コーティングが施されたレンズそのもの
- 小ぶりで上品なレンズ鏡筒
を見てほしいんです。
カールツァイスのT*コーティング
T*(ティースター)コーティングは、ドイツ・カールツァイス社独自のレンズコーティング技術の名称。
- カールツァイスのレンズは明るく高コントラストな写真を撮ることができる
と言われるのですが、それはこのコーティング技術によるものが大きいでしょう
普通は光がレンズに入る時その一部が反射してしまい、その結果写真が暗く低コントラストになってしまいます。
それを特殊な材質の薄い膜でレンズ表面を覆うことにより克服する技術、それが T*コーティングです 。
T*コーティングはおよそ80年前に開発、改良を続けながら現在まで受け継がれており、カールツァイスといえばPlanar、Sonner、Distagonに代表されるレンズのペットネーム、そしてT*コーティングと言えるでしょう。
さて、そのT*コーティングを施されたPlanar T* 45mm F2は見る角度によってそのレンズの色が変わります。
ある角度からは見る物を吸い込むような深い青。
また別の角度からは情熱的に燃えるような赤。
レンズを片手に乗せいつまでも眺めていたいほど美しいコーティングです。
Planar T*45mm F2の外観
このレンズでまず目に入るのは、手にすっぽり収まる小ぶりなサイズ。
そもそもこのレンズが本来つくカメラは、レンジファインダーのContax G1と2。
レンジファインダーカメラの特徴と言えば一眼レフカメラよりも小さくできるということ。
レンズ自体も一眼レフ用レンズと比べると、かなりコンパクトなんです。
さらにレンジファインダーのレンズは設計の自由度が高いと言われており、一眼レフと違い、1番後ろのレンズをシャッター直前まで伸ばすことができるため写りも全体的に良いと言われています。
そしてシャンパンゴールドに輝く総金属製の鏡筒。
当時Contax G1は高級レンジファインダーカメラとして発表され、外装にも力を相当入れていたようです。
本体・レンズともにシャンパンゴールドで塗装。
私は本体も持っていますが、この組み合わせはいつ見ても惚れ惚れする位美しいです。
Planar T*45mm F2の美しさは、
- T*コーティングを施されたレンズの色の変化
- レンズ鏡筒の大きさ/仕上げ
これらの要素のおかげで成り立っていると言えるでしょう。
本当にいつまでも眺めていたいレンズです。
が、レンズを眺めているだけでは写真が撮れないのでX-T3に装着します。
フジXマウントにContax Gマウントレンズを装着する方法
富士フイルムのXマウントとContax Gマウントはそのままでは装着できません。
そのため、マウントアダプターを別で用意する必要があります。
私はK&F Conceptのアダプターにしました。
Contax Gには7本の交換レンズがあったのですが、以下の2本のレンズはこのマウントアダプターでは使えないので注意してください。
- Hologon 16mm F8
- Vario-Sonnar 35-70mm F3.5-5.6
富士フイルムのフィルムシミュレーションとの相性は?
この記事冒頭でも触れましたが、Planar T* 45mm F2をAps-cセンサーの富士フイルムXシリーズのカメラに装着すると、焦点距離がフルサイズ換算約70mmとなります。
70mmというと、中望遠の扱いですね。
その上で富士フイルム謹製のフィルムシミュレーションとの相性ですが、非常に良好だと感じます。
その理由をシチュエーション毎に書いていきます。
自然光
まずPlanar T* 45mm F2とX-T3との相性が良いと気付いたのは晴天下、自然光で撮っていた時。
カールツァイスのレンズは先ほど書いたように明るく高コントラストという特徴を持っています。
それに対し富士フイルムのフィルムシミュレーションは記憶色を重視した色合いのものが多いです。平たく言うと鮮やか。
これらのレンズとカメラの特徴が合わさると、
- 明るく
- 高コントラストで
- 鮮やか
この三つの特徴を持った写真を撮ることができます。
一般的にこの三つの特徴を持った写真は、見た人の心に強い印象を与えると言えます。
もちろんこれらの特徴があまり好ましくないという人もいるとは思いますが、大多数の人はおっ、と思うのではないでしょうか。
私は思いました、はい。
そして手持ちの富士フイルム純正レンズ、XF16-55mm F2.R LM WRと撮り比べて感じたのが、Planar T* 45mm F2で撮った写真の方が青が綺麗ということ。
ツイッターで教えてもらったのですが、カールツァイスレンズは太陽光の黄色の波長をカットしているようで、そのため青が入りやすい=青が綺麗に入るという性質があるようです。
その上でプラナー。
プラナーはカールツァイスの代表的なレンズ光学方式の名前で、主に標準レンズに採用される方式の名称。
カールツァイスの確かな技術に裏打ちされた、高品質な写りが特徴です。
一時期は標準レンズの帝王などとも呼ばれていました。
- 明るく高コントラスト、そして鮮やか
- 綺麗に入る青
- 高品質な写り
自然光下で使わないわけがないですね。
マニュアルでピント合わせるのは難しいですが、開放値がF2と、私の持っているレンズの中では1番明るいです。
ですので積極的に開放で撮るようにもしています。
また反対に、これもTwitterで教えてもらったのですが、思いっきり絞っても素晴らしい移りになります。
どんなものか大阪城を被写体に試してみました。
最近はできるだけPlanar T* 45mm F2をX-T3に付けるようになりました。
絶対に失敗できない撮影の時(子供のイベントなど)は、流石にAFの効く純正のXF16-55を使っていますが。
屋内
Planar T* 45mm F2は開放値がF2と比較的明るめなので、屋内でも使えます。
ストロボ
私の場合主にストロボは物撮りで使っています。
焦点距離70ミリつまり中望遠レンズは
- 歪みが少ない
- 背景を整理できる
これらの特徴から物撮りに向いている焦点距離といえます。
それを踏まえてこのレンズは
- コントラスト
- 解像度
どちらも高く、物の形や質感をしっかりと描き出すことができます。
ストロボでの物撮りは思いっきり絞るため、解像度はより上昇します。
つまり物撮りでも使えるレンズと言うことです。
ただし、ストロボを逆行の位置に置いた場合はフレアが出ます。
ですのでこのレンズを使う場合は、ストロボを順光の位置にするなどの工夫をした方が良いでしょう。
マクロ(接写リング使用)
物撮りでも使えるレンズと書きましたが、このレンズはもともとレンジファインダーカメラ用レンズの特徴をしっかり受け継ぎ、最短撮影距離が長いです。
物撮りでは小さいものやもっと近づいて取りたい、一部分をクローズアップしたいと思う時がよくあります。
その課題を解決するため、接写リングを併用しています。
このレンズはもともと性能が高いため、接写リングを使用しても改造感を保ったまま撮影することが可能。
レンズが小さいのでマクロ撮影をしてもレンズの影が入りにくいと言う利点もあります。
使用感
このレンズはもともとAFレンジファインダー用カメラと言う非常に特殊なカメラのレンズ。
なのだ他のオールドレンズとは違い、アダプター自体にピント調節リングが付いています。
そのため操作になかなかコツがいります。
写真を見ていただいたらわかるのですが、カメラマウントのすぐそばにピントリングがあります。
このピントリングはレンズにあるピントリングとは違い、感触があまりスムーズではありません。
(今回紹介したK&F Conceptの接写リングは他のものに比べるとまだスムーズです。)
メーカーによっては砂が噛んでるのかと思う位ゴリゴリしたものがあるので気をつけましょう。
Planar T* 45mm F2は富士フイルムXマウントで高性能MF準望遠単焦点レンズに変身する
Planar T* 45mm F2はその見た目から趣味性が高いレンズだと思われがちですが、そこはやはりカールツァイス。
その写りもとても高レベルでした。
画角は変わってしまいますが、富士フイルムのXマウントとの相性もよし。
そこまで古くもなく、状態の良い個体が手に入りやすい状況です。
元々はContax Gマウントの特殊な機構からデジタル一眼レフには流用できず、性能に反してかなりの安値でした。
ですが、昨今のフルサイズミラーレスブームで価格が上昇してきています。
Planar T* 45mm F2はまだ安い方なので、手に入れるなら今がベストタイミングだと思います。
中望遠と言う特殊な画角のレンズになりますが、カールツァイスのプラナーを安価に試してみたい人はぜひ。
見た目も良く、写りも良いレンズをぜひ手に取ってみて欲しいですね。